偶然の産物シリーズ

I spilled some coffee on my leather… But it looks a bit nice, innit?

✳︎偶然の産物シリーズ✳︎


職人と一緒に作ったレザーの処理をしながらパソコン作業をしていたら、飲んでいたブラックコーヒーをこぼしてしまった。

頭の中にあるデザインが消えてしまわないうちに先に打ち込んでしまいたかったので、机をサッと拭いて、ダメだとは思いながらも、片付けもそこそこにそのまま作業を続けてしまった。

何時間か経って机を見ると、手作業をしていたレザーにコーヒーをこぼした跡が。。。

あー!!商品がー!!OMG…!!ってなったけど、

よく見ると。。。

「アレ、何コレ…ヤダ、キレイ。」

レザーの名刺入れに、素敵な模様が浮かんでいた。

ヌメ革を紅茶の茶渋で染めるとかは何度もやったことがあるんだけど、エイジド加工的な感じで全体に塗る感じだったし、コーヒーで模様をつけるなんで全然思いつかなかった。

基本濡れても良い革って少ないけど、そんなことは知らん。
誰が言ってるのかも知らん。

「お、いいかも」と思った最初の瞬間のそれが全てで、その感覚を大事にしたい。

コーヒー染めレザーやってみようかな。
もちろんモンドルギリとかのカンボジア産で。

 

最近の課題で、日本と欧米向けに今作成中のECサイトを整備するために、ある程度量産して商品の均一化をしなきゃいけないな〜とか勉強会で言ってたところなのに、どんどん一点モノしかできないことばかり思い付いてしまう…

全部一つ一つ違ったら、量産してECで売る、なんて永遠にできないよね😓

お前はこんなんでビジネスをスケールさせていけんのかとか思うけど、
やりたいことしかやりたくないし、やりたくないことは死んでもやりたくない。
でも、やりたいことの為にやらなきゃいけないやりたくないことは、死んでもやる。

そういう自己中心的な考えばかり持っている。

ダメだな〜と思いながらも、良いと思ったことを試せる、最高に幸せな環境にいるんだなーと思った次第です。

これだからものづくりってやめられないんだな…
お、おにぎりが、すすすす、すきなんだな。。。

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これを「おぉ…綺麗だ」と思ってもらえるか、「なんだコレ汚ぇなーこんなの売り物にするなよ…」って思われるかは人それぞれの感性なので正直わからないんだけど、
ぼくは前者の人たちと一緒に仕事したいし、そういう人たちに手に取って貰いたい。

もっとおこがましい言い方をすれば、そうじゃない人には一生わかってもらえなくても良い。

綺麗でまっすぐなステッチ、量産、品質の均一化の部分ではぼくらは一生大手には勝てない。

だからと言って、クオリティの低さを「これも味だよね」で逃げたくはないので、ぼくらはいつまでもどこまでも良いモノを作る追求はしなきゃいけないし、いやでもそうなる。

でも、それでも出てしまう歪みやひずみこそがハンドメイドならでは「味」なんじゃないかと思っている。

ウチでよくある話で、職人兄弟の兄が作ったものは綺麗で安定している。
弟が作ったものは弟が作ったなとなんとなくわかる。

これ、マイが作ったやろ?そうそう。とか。

今日のステッチは何か粗めやな。何かあったん?
お兄ちゃんに怒られてケンカした。
やっぱり。

…みたいなことがよくある。

うちの商品には彼らの毎日の生活とか精神状態とか記憶とか、そういうものが全て乗っている。

その歪んだステッチをぼくは検品で弾かない。

その基準は「本当に自分たちで納得できるかどうか」だけだと思う。

言い訳や詭弁になっては絶対にダメなんだけど、
他人に「何だこれ荒いな」って言われても、自分たちが良いと思えたら自信を持って出せばいいし、

逆に他の人に「綺麗だね」と言われても自分たちで納得できなければ絶対に出してはいけない。

大手にできない自分たちの生きる道はこういうところにあると思う。

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世界を代表する日本伝統刺青の彫師三代目彫よしさんが言っていた。
刺青のひと針ひと針は人生の一日一分一秒と全く同じで、そのひと針をおろそかにする人に綺麗な作品は作れない。「今」を大事にしろと。
https://www.youtube.com/watch?v=ZOGWaVCrCsA

個人的に、彫よし先生とIKTT森本喜久男さんの「伝統」に対する考え方はものすごく似ていると思う。
千利休スタイル。

そういう意味で、一分一秒集中切らすことなく地雷を撤去する彼らも深いところでは繋がっている。

彼らの言葉の重みはどこからくるんだろう。

カンボジアでものづくりする事の意味みたいなものと楽しさみたいなのを噛み締めている毎日です。

ものづくりって本当に楽しい。

 


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